偽島の呼び声?
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ラヴィニアの手記に登場する用語です。
今回は手記1から。
お暇な方はお読みくださいw
もし、他に質問があればコメントくださるとお答えするかもしれませんw
うろ覚え部分があるので色々間違ってるかもですが(ぇー
いろいろ資料見ながらなんで、大体合ってるとは思います。
・『エルトダウン・シャーズ(Eltdown Shards)』
1882年に南英のエルトダウン周辺で発見された陶片群(シャーズ)。
当初、『イスの大いなる種族』によって遺された作品と推測されたが、様々な研究の結果、『古のもの』がオリジナルを書いたのであり、大いなる種族はこれを転写したのだという説が有力となった。
陶片には意味不明の多くの奇妙な印が記載されている。
1912年にサセックスの牧師であるアーサー=ブルック=ウィンターズ=ホールにより翻訳が開始され、1917年に分厚い冊子として出版された。
内容は大いなる種族がやって来たという惑星イスについて、『知識を守るもの』という存在に関する記述とその召喚方法について(帰す方法については記載されていない)、イェクーブ人の植民地化計画などについて記載されている。
『ナコト写本』との類似点が非常に多く、その一部ではないかと囁かれてもいるが、現在発見されている陶片だけで断定することも困難である。
ラヴィニアの実家にあったのはホール師によって出版された冊子である。
・アーカム(Arkham)
クトゥルフ神話の生みの親、ラヴクラフトが設定した魔都。
米国マサチューセッツ州エセックス郡にあるミスカトニック川流域に存在する。
17世紀後半に、この地域の宗教界の戒律の厳しさに反発した無神論者が設立した。
当初は農業を中心に成長し、18世紀半ばから19世紀に入るまで、港町として栄えた。
1692年ごろの実話として名高いセイレムの魔女裁判の影響、被害を受けたことをはじめ、数々の怪異事件が発生する魔都である。
街の象徴として名高い教育機関、ミスカトニック大学もここにある。
1888年の大洪水や1905年のコレラ発生など、大学の活躍で切り抜けるも、1980年の嵐と大洪水により街は半壊する。
現在、アーカムは近くにあるベバリーの郊外に成り果てているという者もいれば、最新のビルが立ち並ぶ都市であるという者もいる。
いずれにしても研究家たちの楽園であることは変わりないらしい。
・ミスカトニック大学(Miskatonic University)
1765年に設立された、アーカムにある研究機関。
前身はミスカトニック・リベラル・カレッジ。
その設立に関しては暗い噂がいくつも存在するが、はっきりとしたことは謎のままである。
独立戦争後に急激に成長し、南北戦争後に総合大学となる。
医学部が特に有名であり、教育機関としては最高の評価を得ている。
数々の探検隊(1930~31年のパボーディ探検隊、1934年~1935年の西オーストラリア砂漠探検など)を組み未開地や遠隔地探検において賞賛を得ている。
数々の未知のアーティファクトを保存した大学展示博物館や原子力博物館などが有名だが、最も注目されているのは附属図書館であり、数多くのオカルト関連の書物が置かれている。
『死霊秘宝(ネクロノミコン)』のラテン語版が保存されていることが知られているが、自由に閲覧はできず、特別閲覧室に保存されている。
ラヴクラフトはこの大学を合理性と科学思想の場として設定しており、某ゲームなどで登場する神秘学科のような魔術教育の場は一切存在しない。
そういった魔術関連の教育部署があるとするのは、最近の作家の創作である。
・キザイア=メイスン(Keziah=Mason)
ラヴクラフトの作品『The Dream in the Witch House』に登場する魔女。
セイレムの魔女の摘発からアーカムへ逃げるが逮捕され、裁判にかけられる。
そこで魔女集会に参加した者たちのこと、自分たちが犯した悪行をすらすらと自白。
当時、魔女であることを認めた者は無罪になるのが普通の中、死刑を宣告される。
しかしある種の直線と曲線を利用し、空間を跳躍する術を習得していた彼女は脱獄し逃走。
再びアーカムへと逃げてしまう。
魔女としての能力は一級で、ブラウン=ジェンキンという鼠のような使い魔を連れている。
アザトースの数少ない信仰者の一人であり、ニャルラトテップと共に何度も玉座を訪れているとも言われる。
ミスカトニック大学生ウォルター=ギルマンによって殺害されたというが、よくわかっていない。
彼女が潜んでいた『魔女の家』から見つかったものは、ミスカトニック大学の博物館に保存されている。
・ブリチェスター(Brichester)
ホラー作家として有名なラムジー=キャンベルが設定した街。
ブリチェスター大学と共に、ラムジー版アーカムとミスカトニック大学と言える。
英国グロウスターシャー州、セヴァン川流域にある商業都市。
北のマーシーヒル、中央のブリチェスター、南のロウアー・ブリチェスターに分かれている。
ここにあるブリチェスター大学はこの近辺では最も権威ある大学。
魔女の伝統を色濃く残す街でもあり、様々な怪異事件が発生している。
大学には1958年に『グラーキ黙示録』が寄贈されたが、現在は無くなっている。
しかし夢に誘引された男が12巻を書き上げるなど、奇妙なことも起こっている。
ラヴィニアはロウアー・ブリチェスターに住んでいる。
・『ネクロノミコン新釈(Notes on the Necronomicon)』
注釈ネクロノミコンとも。その名のとおり注釈本である。
オカルト研究者ジョアキム=フィーリーが書いた数ある注釈本の中で最も有名。
限定本であり、非常に数が少ない。
フィーリーのオカルト知識は誰もが認めるものだったが、彼の書いた本はオリジナルと食い違いが多く、彼自身がそのソースにおいて『自分の夢で見た』と公表してしまったため信憑性を欠き、研究対象として外れることになった。
今ではちょっとした参考書程度の扱いにされる事が多い。
他に『注釈妖蛆の秘密』『注釈クタアト・アクアディンゲン(水神クタアト)』などがある。
・『アトランティスと失われたレムリア(Atlantis and the Lost Lemuria)』
1896年に英国の神智学者ウィリアム=スコット=エリオットが書いた本。
ラヴクラフトの作品『Call of Cthulhu』に登場するジョージ=ギャマル=エインジェル教授が遺したメモに頻繁に引用されている。
エリオットは霊視によってアトランティス人の生活を知ったと証言しており、その内容は疑問視されている。
・『無名祭祀書(Unaussprechlichen Kulten,Nameless Cults)』
有名なオカルティストにして探検家、フリードリッヒ=ヴィルヘルム=フォン=ユンツトが書いた本で、デュッセルドルフの出版社のゴットフリート=ミュルダーによって1839に出版された。
黒の書という呼ばれ方もするが、これを海賊版であるとする向きもある。
ユンツトはこれを書いた直後にモンゴルへ旅に出かけ、帰還後は部屋に閉じ篭って新しい原稿に着手。
しかし6ヵ月後、絞殺された彼の死体と、引き裂かれた覚書が部屋から発見される。
書に継ぎ足されるはずであったであろう、覚書は友人のアレクシス=ラドーが復元するが、彼は復元後にあろうことかそれを燃やして完全に消滅せしめ、自らは咽喉を切り裂いて自殺する。
書の購入者の多くは著者やその友人の末路を知るや次々にそれを破棄、書も発禁処分となる。
ゆえにオリジナルはほとんど現存していない。
1843年にイエズス会士ピエール=サンスリールによってフランス語版が出版されたらしいが、現存しているものは一冊も存在していないと言われる。
1845年には悪名高い書籍商が粗雑な英語版『Nameless Cults』を出版するがやはり評判は悪く、1909年にはニューヨークの出版社ゴールデン・ゴブリン・プレスが質の良い英語版を出版、しかしオリジナルの4分の1以上が削除された状態であった。
その後ミスカトニック大学が出版を希望するが、ユンツトの遺産相続人は今後いかなる者の新規出版も認めないとして拒否した。
内容は外なる神ヨグ=ソトース、旧支配者大クトゥルフ、旧支配者ツァトグア、旧支配者ガタノトーア、旧支配者イグ、ナグとイェブ、旧支配者ゴル=ゴロス、外なる神シュブ=二グラスなどの神々に関することとその秘密宗派について、黒き碑と神の崇拝について、蟇蛙の神殿についてなど、非常に濃いものとなっている。
今日、かなり知名度の高い魔術書の一つ。
ミスカトニック大学はこの書を少なくとも三冊は所蔵しているという。
ラヴィニアが所持しているのは初版であるドイツ語無削除版である。
・『水棲動物(Hydrophinnae)』
ガントレイという名の人物が書いたとされる書物。
ラテン語版と英語版が存在するが、どちらも出版時期が不明。
魚類似の二足歩行動物を含む、数多い水棲動物について言及している。
ラヴィニアが所持しているのは英語版。
・『深海祭祀書(Unter Zee Kulten)』
その発祥が二説存在しているドイツ語の本。
ガウベルク伯爵が何世紀も前に書き、その後大部分が破棄されたという説。
もう一つはこの書の本来の名前が『深海碑文の秘密(Das Geheimnis Der Unterzeerunen)』であり、1908年に出版されたという説である。
この書を元に深海祭祀書という映画が作られたが、最終的にほとんどの国で上映禁止となった。
内容は水棲怪物に関することで、『深きもの』の食用と建築用に使われている軟体動物についても言及されている。
・『黄衣の王(The King in Yellow)』
19世紀後半に劇作家が書いた作品とも言われるが、クリストファー=マーロゥが書いた作品をジョン=クロフトとウィリアム=シェイクスピアが完成させたとも言われる。
読む者に恐るべき災厄をもたらすとされる戯曲本。
1895年の出版と同時に政府と教会がこれを糾弾、劇の上演は禁止される。
以後、隠れるように細々と出版されているようだ。
第一幕は穏やかな内容だが、第二幕は恐ろしい内容で読む者を狂わせる。
この書を読んで狂った者は旧支配者ハスターの、未だ定かではない本拠・カルコサへと連れ去られるという。
黄衣の王とはハスターの化身であると言われており(ニャルラトテップの化身という説もある)、多くの芸術家や知識人の信仰を得ている。
表紙の奇妙な印は黄衣の王の象徴である『黄の印』である。
本にはカルコサのことだけではなく、牡牛座のヒアデス星団やハリ湖など、多くのハスター領の地名が謳われている。
ラヴィニアは第二幕以降も目を通したが狂うことも無く連れ去れることも無かった。
その理由については後日明らかになるかもしれない。
・『エイボンの書(The Book of Eibon)』
ハイパーボリア(ムーやアトランティスが存在していた時代の北方で栄えていた大陸)で有名であった魔道士エイボンが書き記した書物。
弟子など様々な人の手に渡り、その時々に注釈や付け足しが加えられていった。
氷河期が訪れ、ハイパーボリアが滅んでも複数の書が残った。
アトランティス経由で商人が運んだ経路と、アヴァロン族という謎の種族が残した経路がある。
前者の書は後にラテン語に翻訳され、ミスカトニック大学及びハーバード大学にも保管されている。
後者はアヴェロワ-ニュという土地において1240年にガスパール=ド=ノールなる魔道士がフランス語に翻訳した。
この書はまだ何冊か現存していると言われ、ラヴィニアが入手したのはこのうちの一冊である。
内容は若き日のエイボンによる魔術実験、シャッガイとナスへの旅についてが大部分であり、その他には旧支配者ツァトグアに関する記述、邪神ルリム=シャイコースに関する記述、ある星から生み出された奇形を破壊する粉末の製法、生きた肉体を石化させる化学物質のことなどが記載されている。
しかし異形の生物ドールを召喚し使役させる方法などは失われており、また、南極に眠る『古きもの』に関する記述は一部の書にしか残っていない。
非常に知名度の高い稀観書であり、その内容は『ナコト写本』や『アル・アジフ』に匹敵する。
・『ルルイエ異本(R'lyeh Text)』
クトゥルフの落とし子によって造られた大きな銘板を書き写した書。
銘板は既に失われているが、巻物の形で中国奥地において残されている。
今日よく知られるのは人皮で装丁された中国語の本である。
ミスカトニック大学の図書館にも保管されており、ラヴィニアが所持するのもこれである。
他にもラテン語版が存在するという。
また、イタリア語版があり、それをナポレオンが所持していたという話もあるが定かではない。
内容は外なる神ヨグ=ソトースに関する記述、旧支配者イタクァに関する記述もあるが、メインは旧支配者大クトゥルフとその眷属への正しい崇拝の仕方や8ヶ所ある彼らの活動拠点、人間が水中で息を吸うことができるようになる呪文『ダゴンの息』などについて言及されている。
多くのクトゥルフ・カルトはこれを最も神聖な書として扱っている。
・『ドール賛歌(Dhol Chants)』
ドール賛歌は2種存在している。
一つ目は『隠されしレン』と呼ばれる、未だその位置がはっきりしない土地であるレン高原にて書かれた書物。
1650年に中国語で書かれたものがアジアの修道院にて発見された。
この本は『ドール』と呼ばれる異形の存在と関係しているが、ドールがどのような方法で文書に影響を与えたのかは謎のままである。
英語版も存在するらしい。ラヴィニアが所持しているものはビルマ(ミャンマー)語版。
ミスカトニック大学附属図書館にも一冊が存在する。
その内容は555の賛歌が収録されており、それぞれが呪文としての役割を果たす。
精霊を使役するもの、『青く輝くもの』と呼ばれる何かを呼び出すもの、復讐を果たすものなど。
復讐の呪文は術者の死後効果を発揮する。
役に立たない呪文、効果が無い呪文も含まれているらしい。
二つ目は第一次世界大戦時にハインリッヒ=ツィンマーマンが書いた同名の書である。
カリブ海と西アフリカの音楽性の類似について書いており、民族音楽、伝統音楽をまとめている。
しかしながらその歌の中には金のアミュレットを着用して歌うことで外なる神ニャルラトテップの化身・アトゥを召喚することができるものや、下級精霊を呼び出すことができるものも存在する。
・『ナアカルの鍵(Naacal Code)』
失われた大陸ムーで使用されていた神官文字。
現在ではヒマラヤの一握りの高僧しか知らない。
俗語と神聖語がある。
本書に関する具体的な資料はない。
ムー大陸でシュブ=二グラスを信仰していた教団が遺した石版『ナアカルの碑文』と何らかの関係があるのかもしれない。
・『水神クタアト(クタアト・アクアディンゲン、The Cthaat Aquadingen)』
中世初期に書かれた作者不詳の書。
クタアトの意味する所は不明。アクアディンゲンは『水中のもの』を意味するラテン語とドイツ語の混合。
この書の写本は、『ダゴネンシス写本』『スピタルスキ写本』などと非常に類似しており、このことから400年ごろの北ヨーロッパの禁制の伝承を集めた同様な書の一つに過ぎないと主張するものもいる。
オリジナルはゴシック体とルルイエ語の混合であるとも言われるが、5部しか存在しないといわれるものはラテン語で書かれているようだ。
最近の写本は英語版である。
この書の特徴はルルイエ異本と同じく人皮で装丁されていることであり、天候や湿度などによって本がうっすらと汗をかくことである。
所有者は英国の探偵タイタス=クロウ(彼の館を襲った奇妙な嵐により、紛失したと思われる)、大英博物館閲覧制限室、『ドリームランド』にあると言われる大図書館である。
また、英国のオークディーン療養所には写本と部分的な翻訳がある。
内容は旧支配者イブ=ツトゥルや外なる神ニャルラトテップの化身『小さき這う者』に関する記述がある他、旧支配者ツァトグァの儀式、旧支配者バグ=シャースを退散させる方法、ナアク=ティトの障壁、第六サスラッタに関する記述がある。
しかしその書の大半は水棲怪物や精霊に関係することであり、旧支配者大クトゥルフの奉仕種族である『父なるダゴン』や『母なるハイドラ』、『深きものども』のことにも言及されている。
この一級の魔道書をラヴィニアも所持しているが、人皮で装丁されたラテン語であるものの重要箇所が所々抜け落ちた、もしくは意図的に削除されているようであり、これがオリジナルなのか海賊版や写本の類なのかラヴィニア自身はっきり分からないでいる。
・『妖蛆の秘密(De Vermis Mysteriis)』
1542年ごろに魔術師ルドウィク=プリンによって書かれた本。
ベルギー国内で魔女狩りが盛んであったころ、プリンも異端審問によって裁判にかけられ、死刑を宣告される。
この書は彼が獄中において書き上げたものであるが、完成後何者かによって獄中から持ち去られたとか、プリン自身が何らかの方法で持ち出したとか言われている。
いずれにしろ彼の死後1年が過ぎた頃にケルンにてラテン語版が出版された。
教会はこの書を非常に危険視し、1569年、教皇ピオ5世が禁書に指定、発禁処分となる。
その後不完全なドイツ語版がデュッセルドルフで出版されるが評判は芳しくなかった。
また、1809年にプラハで(何語版か不明)出版されるが、現存しているものは確認されていない。
1573年には魔術師エドワード=ケリーがロンドンで英訳版を出版するなど、英訳はいくつか行なわれている。
19世紀には『僧X』なる人物が妖蛆の秘密の中で最も有名で、最も恐るべき章『サラセン人の儀式』に関する記述の英訳を、大部分を削除してはあるが小冊子の形で発表している。
この書はカリフォルニアのハンティンドン図書館、プロヴィデンスの『星の知恵派教会』、ミスカトニック大学附属図書館に存在する。大英博物館にはラテン語版の半分と、完全なドイツ語版がある。また、僧Xの小冊子も収蔵されている。
妖蛆の秘密は16の章に分かれていて、それぞれ易断、使い魔、魔術、精霊、吸血鬼などに分かれている。
最もよく知られているのがプリンが十字軍時代の後、サラセン人から聞いた、彼らの儀式を扱った章である。
また、空から舞い降りる不可視の吸血生物であり「眼に見えざる朋輩」と呼ばれる異形の怪物『星の精』を召喚し、使役する呪文がある。
そのほか、旧支配者バイアティスとアイレムの蛆魔術師の話、遼丹として知られる薬の製法、人間と深きものの混血による変身の促進を意図する術式、エジプト人のワニ神セベクに関する記述などがある。
ラヴィニアは困難ではあったがラテン語版を入手しており、この書は他の書に比べ閲覧する頻度が高いため、本をあまり傷ませないよう利用の度に別の紙に写し取っている。
・『魔術の真理(True Magick)』
テオフィラス=ヴェンという魔術師が17世紀に書いたとされる本。
1872年にオークリー・プレスによって出版されており、ミスカトニック大学附属図書館に収蔵されている。
写本も多く出回っているが、ラヴィニアはオークリー・プレスが出版したものを手に入れている。
内容は怪物や吸血鬼などについての普通の話のほか、大いなる力に関する7つの呪文が記載されている。
そのうち3つは様々な防護的な呪物の創造のためのものであり、ほかの3つは魔術師の敵に対して使用すべきもののようである。
最後の1つは恐るべき怪物を召喚するものであり、危険極まりないものである。
Great Old Oneを祀る祭壇に生贄を必要とするが、莫大な富を呪文の使い手に与える。
この書の中でヴェンは魔術を黒魔術、白魔術、灰色の魔術という風変わりな分け方をしている。
ラヴィニアは6つの呪文に関して既に試みを終えているが、最後の一つは特に富に困っていないため、使用どころか閲覧もほとんどしていない。
・『グラーキ黙示録(Revelations of Glaaki)』
旧支配者グラーキを信仰するカルトの慣習を詳しく述べた11巻からなる本。
ブリチェスターの近くにあるセヴァン渓谷に潜むグラーキを崇拝する様々な者の手によって書かれた。
カルトから逃げ出したメンバーが原稿を出版社に渡し、その出版社は1865年にグラーキ黙示録として9巻組みで出版した。
この本は原稿を持ち出したメンバーによって所々削除されていたという。
9巻組みのこの本はカルトメンバーによって買い占められ、一般の者が手に入れることは極めて困難であったという。
1920年ごろ、ブリチェスターの書店が黙示録12巻を発見する。
この巻は黙示録の中で旧支配者イゴーロナクについて言及されている唯一の巻である。
1870年代にグラーキカルトは解散したらしく、手書きのオリジナルがカルトの本拠地にまだ残されているかは不明である。
ブリチェスター大学は一時期、アーノルド=ハード教授の屋敷にあった9巻版を保管していたが、紛失してしまい今はもうない。
12巻の一冊がニューヨーク公立図書館にあるとの噂もある。
本の内容はグラーキの儀式が大半で、他に外なる神ダオロス、外なる神グロース、旧支配者アイホート、亜神ハイドラ(母なるハイドラ)、スルグオの住民についてなどが書かれているが、関わった人間が多いためか混乱やばらつきが多くみられる。
ラヴィニアは11巻版と12巻を所持しており、非常に重宝している。イゴーロナクに関する記述が多い12巻をはじめ、ダオロスやグロースの記述はよく目を通している。
・『全能なるオトゥーム(オトゥーム・オムニキア、Othuum Omnicia)』
怪物オトゥーム(その正体には二説あるが、未だ本質は不明)への正しい崇拝の仕方を記載した書。
強力な悪魔祓いについても記載されている。
ラテン語で書かれ、2部しか現存が確認されていない。
1部は大英博物館にあり、もう1部はハンガリーのどこかにある個人の収集の中にあるという。
ラヴィニアは東欧の出身であるが、彼女の所持しているものがその個人の収集であるものなのか、それとも第3部目なのかは想像にお任せしたい。
・『イオドの書(Book of Iod)』
その起源は不明。一説には『クト=ナー』という名の作であるともいう。
古代語で書かれており、そのオリジナルは1部だけ残っている。
後にジョハン=ニーガスがラテン語で書かれた翻訳された削除版を製作している。
その1部がカリフォルニア州サンマリノのハンティンドン図書館に保管されている。
ラヴィニアが所持しているのもラテン語版であるがページがいくつか抜け落ちた不完全版である。
内容は輝ける狩人イオドや、ヴォルヴァドス、ズー=シャエ=クワンといった邪神についての記述がある。
・『断罪の書(Liber Damnatus Damnationum)』
ヤヌス=アクァティカスによって書かれた本。
1647年にロンドンで出版された。
ミスカトニック大学にもラテン語版写本があったが盗まれたらしい。
またラヴクラフトの作品『The Case of Charles Dexter Ward(邦題:チャールズ=デクスター=ウォードの事件)』に登場する死霊術師ジョゼフ=カーウィンの書斎にも一冊が存在した。
この本の内容の多くがヤヌス=コーネリウス=ワッサーマンのオカルト・ファウンデーションで盗作されているという。
ラヴィニアはラテン語版写本を手に入れている。
内容は人類のほとんどが滅び去る『大いなる死』、Great Old Oneを助けその序列に連なることを許された存在などの記述があるほか、魔術師が子孫の一人の行動を通じて不死になる方法、外なる神ヨグ=ソトースと接触するための呪文、次元間のヴェールが春分近くになると薄くなる場所といったことについて言及されている。
・『魔女への鉄槌(Malleus Maleficarum)』
1486年にドイツにおいて、ドミニコ会の修道士でありケルン大学学長ヤコブ=シュプレンゲルと修道院長ハイリンヒ=クラーメルの共著として出版された実在の書。
当初魔女などいないと魔女裁判を抑えていたが徐々に世論に流され始めていた教会に最後の止めを刺した書。
魔女論の古典であり、魔女裁判の手引書である。全ての魔女論はここから発せられたといっても過言ではなく、多くの魔女論文はこの影響を受けた亜流とも言える。著者の一人、クラーメルは後に異端審問官になっている。また、シュプレンゲルは異端審問官長である。
13版を重ねたこの書は100年後に復刻版が出された時は16版にもなり、16種のドイツ語、11種のフランス語、7種の英語、イタリアでは2種が出版されるなど、世界各地で読まれることとなった。
イタリアでは再版され、イギリスでは数十版を数えるほど増版された。
驚くべき事に、当時カトリックと対立関係にあったプロテスタントまでが受け入れたということだ。
著者2人は魔女の冤罪事件やケルン大学の認定書を偽造するなどしながらローマ教皇イノケンティウス8世に働きかけ、ついに1484年、魔女裁判を肯定する教書を発布させる。
この書はその後、教皇の命によって書かれたものであるらしい。
実用書として、教科書として非常に優れていると言わざるを得ないこの書はすぐに受け入れられ、ヨーロッパに大災厄を撒き散らす事になるのである。
本の内容は魔女の定義、魔女の呪術、魔女裁判の手続きと方法の3章から成っている。
恐るべきは第3章であり、尋問や拷問の仕方まで事細かに載っているのである。
1946年、モンターギュ=サマーズが英訳復刻版を出す。
彼は序文でこの書が『世界で最も重要であり、知的で代表的とするに足る書物』であるとし、さらに『現代の裁判でも実用に耐えうる内容である』と述べている……。
ラヴィニアは正義の名の下であれば人間はどこまでも冷酷・残忍になり、周囲は付和雷同によってそれについていくという心理的性質を研究するためにこの書を重用している。
人間の本質を知る事は、彼女の目的到達への重要な一要素なのである。
・『死霊秘宝(Necronomicon)』
クトゥルフ神話で最も重要視される書。その全貌はまだ明らかになっていない。
アラブの狂える詩人アブドゥル=アルハザードが730年にダマスカスで書いたもの。
当時のアラブの書といえば巻物だったようだが、これは巻物だったのだろうか?
原題は『キタブ・アル・アジフ(もしくはアル・アジフ)』で、「魔獣の咆哮」「夜の悪鬼の咆哮」などと訳されるがその怪物の咆哮の正体は夜鳴きする虫のことである。
アルハザードは738年、衆人環視の中、不可視の怪物によって貪り食い殺されたと言われるが、別な説ではその書に書いてはならないことを書き記したため、連れ去られて拷問の末に殺されたという。
一般に知られる『ネクロノミコン』の名は950年にコンスタンティノープルのテオドール=フィレタスによってギリシア語訳された時に付けられたものである。
この書は読む者の精神に悪影響を与えるとして、一世紀後に総主教ミカエル=ケラリウスによって焚書に処せられた。
1228年にはオラウス=ウォルミウスによってラテン語訳版が出版されるが、1232年グレゴリウス9世によって発禁処分となっている。
しかし15世紀にはドイツでゴシック体版、16世紀にはギリシア語版がイタリアで、17世紀にはスペイン語版が密かに出版されている。
現存する多くは17世紀ラテン語版であり、ミスカトニック大学附属図書館をはじめ、ハーバード大学ワイドナー図書館、ブエノス・アイレス大学図書館などに存在する。
大英博物館には15世紀のゴシック体ラテン語版が存在する。
しかしいずれにしろ欠如しているものが多いものばかりであり、各機関が協力して元の一冊に戻そうとしている。
原書は失われているというが、その一部が蒐集家や魔術師などの書棚などで見られたという報告が後を絶っていない。
内容は旧支配者や外なる神、その眷属や奉仕種族についてやその宗派、秘儀について言及されているという。
また、人類の本質(塩)と死体を焼いた灰を用いた招魂術、地名や人名、品々に関わる伝説、他人の肉体を奪取して永遠を生きる方法、イヴン=ガズィの粉薬についての記述、時間と次元に関する秘密などが書かれている。
ラヴィニアも他の魔術師同様、例外ではなくこの書が一部だけでも咽喉から手が出るほど欲しいがその機会は全く得られておらず、ミスカトニック大学特別閲覧室において監視のもと、閲覧とメモを行なったことしかない。
・『セラエノ断章(The Celaeno Fragments)』
1915年にミスカトニック大学のラバン=シュリュズベリィ博士によって同大学の附属図書館に預けられた書。
これを預けた後に博士は失踪する。
シュリュズベリィ博士は旧支配者ハスター領であるプレアデス星団セラエノの第四惑星に存在する大図書館においてオリジナルの割れた石版を見つけ、覚書を書く。
この覚書が断章の翻訳であるといい、その起源は三畳紀中期であるという。
この断章は短いもので、50ページほどであるという。
ボストンの核物理学者アサフ=ギルマン教授とリマ大学のヴィヴァロ=アンドロス教授がこの断章を閲覧、要約本を作成した。
20年後の1935年、ミスカトニック大学に舞い戻った博士はこの断章を手元に戻している。その後何度も彼と大学の間を行き来し、今は関係の無い人間が閲覧できないように幾重にも鍵がかけられているという。
ほとんどの点で『エルトダウン=シャーズ』や『ナコト写本』と内容がよく似ている。
その内容は外なる神や旧支配者、その眷属や奉仕種族から身を守る術といわれる第四の結印『旧き印』についてや、フォウマルハウトに棲む旧支配者クトゥグアの招来、飲んだ者を時空の束縛から解き放ち、感覚を鋭敏にするだけでなく時間や時空を超える旅を可能とさせる黄金の蜂蜜酒の製法、ハスターの奉仕種族ビヤーキーの招来と使役、黄衣の王とカルコサに関する記述などがある。
ラヴィニアはミスカトニック大学において閲覧を希望したが拒否されたため、ボストン大学の要約本を閲覧している。彼女自身セラエノに赴いたことがあるがハスターの僕ではなかったため、その知識を書にして持ち出すことはできなかった。
島で出会った断章のオリジナルを持ち、博士の孫を名乗る少女の存在に衝撃を受けたが、今はその少女の成長や少女との交流を楽しんでいる。
博士と相反する道を歩いているラヴィニアと博士の孫娘である少女の関係がどんな結論を迎えるのか、PLとしてちょっと楽しみ。
というか、いつもお世話になってます(笑
・『ネクロノミコンにおけるクトゥルフ(Cthulhu in the Necronomicon)』
ラバン=シュリュズベリィ博士による草稿。
彼の論文『ルルイエ異本を基にした後期原始人の神話の型の研究』の続編であるらしい。
未完である。
1938年に最初の部分が出版社に届く。この年に彼の家に原因不明の火事が起こり、博士は死んだと思われていた。
残りの原稿は存在していないが、最初の部分は出版されたとも、出版されずミスカトニック大学に保管されているとも言われる。
内容は『ネクロノミコン』と『ルルイエ異本』で概要が描かれるクトゥルフ神話と、世界中の様々な文化の神話の関連について述べたり、Great Old One同士(特に旧支配者大クトゥルフと旧支配者ハスター)を相争わせることが有効であるかどうかを推測している。
ラヴィニアはこれをミスカトニック大学特別閲覧室にて、監視のもと、閲覧とメモを行なっている。
・『ザンツー陶片(Zanthu Tablets)』
ザンツー石版とも。
失われた大陸ムーのユトグタ信仰最後の大神官であったザンツーによってナアカル神聖語で書かれた10個(12個とも)の黒い石版。
ザンツーは史上最も強力な魔術師の一人に数えられるが、ムー沈没の原因を作った。
1913年、あまり評判の良くない人類学者ハロルド=ハドリー=コープランドが『ポナペ島教典』に書かれた記述に従ってアジア探検を行い、ザンツーの墓を発見し石版を回収した。
しかしながら探検隊はこの辺境において壊滅しており、コープランドも狂気に陥っていた。
後に正気を取り戻したコープランドは石版の翻訳に取り組み、1916年、その結果を個人出版で小冊子にしてまとめ、『ザンツー陶片:憶測的翻訳』としてサンフランシスコで出版した。
しかしながら学会、世論双方からこの作品は糾弾されることとなり、出版から2年後、コープランドは保護施設に送られることになった。
石版はカリフォルニアのサンボーン太平洋海域古代遺物研究所に保管されていたが、1933年に盗難によって紛失する。
小冊子の内容は『セラエノ断章』や『ナコト写本』と類似している部分がある。
石版は、ザンツーがどのようにしてムーを破壊してしまったのかを、ザンツーが書き残したものであった。
ラヴィニアが閲覧したのは小冊子である。
・『ダゴンへの祈祷書(Invocations to Dagon)』
アサフ=ウェイトによって書かれた草稿。
彼は『深きもの』との繋がり深いマサチューセッツ州インスマスの住人だったが、1928年に連邦政府の襲撃によって死亡している。
原題は『祈り』だけであるかもしれない。
この書は彼の一族に伝えられたとされるが、現在誰が所持しているのか部外者には分からない。
ミスカトニック大学はこの作品の数ページを保管しているという。
内容は主にクトゥルフの奉仕種族であり神父である亜神『父なるダゴン』に捧げられた儀式と祈祷文である。
ラヴィニアは後に語ることになるが、彼女にとって最高の書となる禁書『ニライカナイ』を手に入れる直前にインスマスに赴き、『ダゴン秘密教団』と接触している。
その際、この祈祷書の閲覧を彼らから許された。
・『石碑の民(The People of the Monolith)』
『モノリスの人々』とも。
有名なボードレール派の詩人で、詩人エドワード=ダービィの友人であったジャスティン=ジェフリーの詩集。
題名となった詩は1922年のハンガリーのズトゥルタンという土地への旅行の際、ジェフリーが陥った狂気に関係しているらしい。彼はこの間、シュトレゴイカバールに滞在し、黒の碑に大変な感銘を受けた。
数年後ニューヨークに現れた彼は後に『石碑の民』と呼ばれることになる詩の原稿を持っていた。
ニューヨークで知り合い友人となったジョン=タイラーの支援によって1926年、エレバス・プレスによって出版される。
しかしこの直後、彼の精神は著しく衰退し、ジェフリーは精神病院で21歳の若さで狂死した。
1982年、著名な映画監督コーマン=アッベがこの詩集を題材に映画を製作するが、初公開が行なわれたニューヨークの劇場は崩壊し、フィルムが公開されることは決してなかった。
この詩集の一冊は何かのクリーチャーの皮で装丁されていたというが、他の本は普通の装丁であった。
詩は年代順に並べられているが、『ヴェールを剥ぎ取る者』については例外であるという。
詩集には『石碑の民』、『黒い欲望』、『星の獣』、『ニトクリスの鏡』などがある。
ラヴィニアはこれを所持しておらず、図書館などで閲覧、メモを取っただけである。
・『ナコト写本(The Pnakotic Manuscripts)』
書かれた時代、起源は謎のままである本。
『イスの偉大なる種族』が最初の5章を書き、それらをナコタスという記録保管都市に保存したといわれ、またその題名は同都市に由来する。
また、『エルトダウン・シャーズ』との関連から、これを『古のもの』の手によるものであるとする説も存在する。
古代ロマール人がハイパーボリアへ伝え、そこで大陸の言語に書き直され、有史時代まで秘密教団が保管していた。
時が経ち、本来のものと異なる内容が書き加えられたという。
この書は元は巻物の形であったが、この版は全て失われているという。ミスカトニック大学にはこの版に由来する羊皮紙が数片保管されている。
また、後にギリシャ語と英語に翻訳されており、ギリシャ語版は『ナコティカ』と呼ばれる。
15世紀に翻訳者不明の英訳版が出版されたというが、写本の普及版であるとも言われる。
これはウルタールにあるものが最後であるとされるが、ミスカトニック大学、東京大学、『星の知恵派』のプロヴィデンス教会、ニューヨーク公立図書館にも保管されているという噂もある。
写真による複製は削除版ではあるが大英博物館に存在する。
その内容は『イスの大いなる種族』に関する記述、旧支配者チャウグナル=フォーンや旧支配者イブ=ツトゥルの性質、ハセグ=クラ山頂上へのサンスの旅、ゾブナの没落、旧支配者ラーン=テゴスに関する記述などがある。
この書にはある種の守護者が存在し、閲覧を阻害するといい、これを読むには代価を払わなければならないとも言われているが定かではない。
ラヴィニアは大英博物館の写真を苦労して許可を取り閲覧し、ラーン=テゴスに関する記述をメモしている。
・『シークレット・ドクトリン(Secret Doctrine)』
1888年、霊媒師にして神智学創唱者であるマダム・ブラヴァッキー(エレナ=ペトロヴナ=ブラヴァッキー)によって書かれた書。
実在の本であり、書店で普通に購入できる。
『ドジアンの書』の紹介などがある。
余談だがクトゥルフ神話作品において『魔術書研究のための参考書、辞書』的扱いで頻繁に登場するジェームズ=ジョージ=フレイザーの神智学本『金枝篇』も普通に買える。
某ゲームでは魔術書扱いで優遇されてた。なぜ?
とにかくラヴィニアはこれを購入せず、本屋での立ち読みで済ませている(ぇー
・『サンの七秘聖典(Seven Cryptical Books of Hsan)』
『フサンの謎の七書』とも。
恐らくは中国起源と思われる巻物。
2世紀に大フサンで書かれたとか、レン高原から来たとかいろいろ言われている。
秦の始皇帝が紀元前213年に行なった焚書により、巻物の大部分は破壊されることとなり、後に粗雑な版として復刻されるも、四王朝を経て禁書に指定され、希少極まりないものとなった。
その後中国から持ち出され、1792年の粗悪な英語版以降、何度も翻訳された。
1940年にオカルティストとして名高いエティエンヌ=ローラン=ド=マリニーによって良質の英語版が纏められ、ボストンの出版社が出版している。
1943年ラマ僧のドルジ=ラムはマルセイユでフランス語版を出版した。
この本はウルタールにあるエルダー・ワンの神殿、ミスカトニック大学、フランスのアルスナル図書館、サンクトペテルブルク国立大学図書館やアメリカ議会図書館、スコットランドやフランスの個人蒐集家が保管しているという。
アメリカ議会図書館においては、完全な版を持っているが堅く守られている。
ダライ=ラマの図書館にもこの本があるが、中国軍侵攻の際、僧たちはこういった書のほとんどを秘匿してしまったため、チベットでこれらの写本を見つけることは不可能に近いという。
内容は死んだ魔術師の適切な扱い、外なる神ニャルラトテップの化身たち、ドリームランドやレン高原についてなどのほか、『ルルイエ異本』の引用、『ドール賛歌』に類似した呪文などが記載されている。
巻の一つは失われていると言われ、死者から知識を得る方法について書かれているという。
ラヴィニアはミスカトニック大学で閲覧し、いくつかの式文などをメモしている。
・『屍食教典儀(Cults des Goules)』
主にパリにおける食屍鬼(グール)のカルトを扱った書で、著者はダレット伯爵というオカルトに嵌り込んだフランス貴族。
この書の版については元々出版された事実はないとかあるとかいろいろあってよくわからない。
しかし数人の魔術師がイタリア語やフランス語の写本を生み出したとも言い、合計で14部存在するという。
書は刊行後に教会によって発禁となった。
ミスカトニック大学や『星の知恵派』のプロヴィデンス教会、正体不明の嵐により紛失したであろうが探偵タイタス=クロウの個人蔵書の中にも存在していた。
本の内容は放蕩三昧の宮廷人ですら恐怖させたという。
食屍鬼カルトにおける伯爵の活動、豊作を願う大地の神々に捧げるという異教的な儀式の記述、外なる神シュブ=二グラスや旧支配者ニョグタに関する記述などがある。
ダレット伯爵は、後に姓を『ダーレス』に改めたとされる。
ラヴィニアはミスカトニック大学でこの書を閲覧、メモをしている。
・『サセックス草稿(Sussex Manuscripts)』
『悪の祭祀(Cults Maleficarum)』とも。
ラテン語版『ネクロノミコン』の部分的英訳。
サセックスのフレデリック男爵によって1598年に8つ折版で刊行された。
『エルトダウン・シャーズ』を翻訳したホール師がこれをさらに翻訳しており、それはミスカトニック大学に保管されている。
ラヴィニアはミスカトニック大学でこの書を閲覧、メモをしている。
1882年に南英のエルトダウン周辺で発見された陶片群(シャーズ)。
当初、『イスの大いなる種族』によって遺された作品と推測されたが、様々な研究の結果、『古のもの』がオリジナルを書いたのであり、大いなる種族はこれを転写したのだという説が有力となった。
陶片には意味不明の多くの奇妙な印が記載されている。
1912年にサセックスの牧師であるアーサー=ブルック=ウィンターズ=ホールにより翻訳が開始され、1917年に分厚い冊子として出版された。
内容は大いなる種族がやって来たという惑星イスについて、『知識を守るもの』という存在に関する記述とその召喚方法について(帰す方法については記載されていない)、イェクーブ人の植民地化計画などについて記載されている。
『ナコト写本』との類似点が非常に多く、その一部ではないかと囁かれてもいるが、現在発見されている陶片だけで断定することも困難である。
ラヴィニアの実家にあったのはホール師によって出版された冊子である。
・アーカム(Arkham)
クトゥルフ神話の生みの親、ラヴクラフトが設定した魔都。
米国マサチューセッツ州エセックス郡にあるミスカトニック川流域に存在する。
17世紀後半に、この地域の宗教界の戒律の厳しさに反発した無神論者が設立した。
当初は農業を中心に成長し、18世紀半ばから19世紀に入るまで、港町として栄えた。
1692年ごろの実話として名高いセイレムの魔女裁判の影響、被害を受けたことをはじめ、数々の怪異事件が発生する魔都である。
街の象徴として名高い教育機関、ミスカトニック大学もここにある。
1888年の大洪水や1905年のコレラ発生など、大学の活躍で切り抜けるも、1980年の嵐と大洪水により街は半壊する。
現在、アーカムは近くにあるベバリーの郊外に成り果てているという者もいれば、最新のビルが立ち並ぶ都市であるという者もいる。
いずれにしても研究家たちの楽園であることは変わりないらしい。
・ミスカトニック大学(Miskatonic University)
1765年に設立された、アーカムにある研究機関。
前身はミスカトニック・リベラル・カレッジ。
その設立に関しては暗い噂がいくつも存在するが、はっきりとしたことは謎のままである。
独立戦争後に急激に成長し、南北戦争後に総合大学となる。
医学部が特に有名であり、教育機関としては最高の評価を得ている。
数々の探検隊(1930~31年のパボーディ探検隊、1934年~1935年の西オーストラリア砂漠探検など)を組み未開地や遠隔地探検において賞賛を得ている。
数々の未知のアーティファクトを保存した大学展示博物館や原子力博物館などが有名だが、最も注目されているのは附属図書館であり、数多くのオカルト関連の書物が置かれている。
『死霊秘宝(ネクロノミコン)』のラテン語版が保存されていることが知られているが、自由に閲覧はできず、特別閲覧室に保存されている。
ラヴクラフトはこの大学を合理性と科学思想の場として設定しており、某ゲームなどで登場する神秘学科のような魔術教育の場は一切存在しない。
そういった魔術関連の教育部署があるとするのは、最近の作家の創作である。
・キザイア=メイスン(Keziah=Mason)
ラヴクラフトの作品『The Dream in the Witch House』に登場する魔女。
セイレムの魔女の摘発からアーカムへ逃げるが逮捕され、裁判にかけられる。
そこで魔女集会に参加した者たちのこと、自分たちが犯した悪行をすらすらと自白。
当時、魔女であることを認めた者は無罪になるのが普通の中、死刑を宣告される。
しかしある種の直線と曲線を利用し、空間を跳躍する術を習得していた彼女は脱獄し逃走。
再びアーカムへと逃げてしまう。
魔女としての能力は一級で、ブラウン=ジェンキンという鼠のような使い魔を連れている。
アザトースの数少ない信仰者の一人であり、ニャルラトテップと共に何度も玉座を訪れているとも言われる。
ミスカトニック大学生ウォルター=ギルマンによって殺害されたというが、よくわかっていない。
彼女が潜んでいた『魔女の家』から見つかったものは、ミスカトニック大学の博物館に保存されている。
・ブリチェスター(Brichester)
ホラー作家として有名なラムジー=キャンベルが設定した街。
ブリチェスター大学と共に、ラムジー版アーカムとミスカトニック大学と言える。
英国グロウスターシャー州、セヴァン川流域にある商業都市。
北のマーシーヒル、中央のブリチェスター、南のロウアー・ブリチェスターに分かれている。
ここにあるブリチェスター大学はこの近辺では最も権威ある大学。
魔女の伝統を色濃く残す街でもあり、様々な怪異事件が発生している。
大学には1958年に『グラーキ黙示録』が寄贈されたが、現在は無くなっている。
しかし夢に誘引された男が12巻を書き上げるなど、奇妙なことも起こっている。
ラヴィニアはロウアー・ブリチェスターに住んでいる。
・『ネクロノミコン新釈(Notes on the Necronomicon)』
注釈ネクロノミコンとも。その名のとおり注釈本である。
オカルト研究者ジョアキム=フィーリーが書いた数ある注釈本の中で最も有名。
限定本であり、非常に数が少ない。
フィーリーのオカルト知識は誰もが認めるものだったが、彼の書いた本はオリジナルと食い違いが多く、彼自身がそのソースにおいて『自分の夢で見た』と公表してしまったため信憑性を欠き、研究対象として外れることになった。
今ではちょっとした参考書程度の扱いにされる事が多い。
他に『注釈妖蛆の秘密』『注釈クタアト・アクアディンゲン(水神クタアト)』などがある。
・『アトランティスと失われたレムリア(Atlantis and the Lost Lemuria)』
1896年に英国の神智学者ウィリアム=スコット=エリオットが書いた本。
ラヴクラフトの作品『Call of Cthulhu』に登場するジョージ=ギャマル=エインジェル教授が遺したメモに頻繁に引用されている。
エリオットは霊視によってアトランティス人の生活を知ったと証言しており、その内容は疑問視されている。
・『無名祭祀書(Unaussprechlichen Kulten,Nameless Cults)』
有名なオカルティストにして探検家、フリードリッヒ=ヴィルヘルム=フォン=ユンツトが書いた本で、デュッセルドルフの出版社のゴットフリート=ミュルダーによって1839に出版された。
黒の書という呼ばれ方もするが、これを海賊版であるとする向きもある。
ユンツトはこれを書いた直後にモンゴルへ旅に出かけ、帰還後は部屋に閉じ篭って新しい原稿に着手。
しかし6ヵ月後、絞殺された彼の死体と、引き裂かれた覚書が部屋から発見される。
書に継ぎ足されるはずであったであろう、覚書は友人のアレクシス=ラドーが復元するが、彼は復元後にあろうことかそれを燃やして完全に消滅せしめ、自らは咽喉を切り裂いて自殺する。
書の購入者の多くは著者やその友人の末路を知るや次々にそれを破棄、書も発禁処分となる。
ゆえにオリジナルはほとんど現存していない。
1843年にイエズス会士ピエール=サンスリールによってフランス語版が出版されたらしいが、現存しているものは一冊も存在していないと言われる。
1845年には悪名高い書籍商が粗雑な英語版『Nameless Cults』を出版するがやはり評判は悪く、1909年にはニューヨークの出版社ゴールデン・ゴブリン・プレスが質の良い英語版を出版、しかしオリジナルの4分の1以上が削除された状態であった。
その後ミスカトニック大学が出版を希望するが、ユンツトの遺産相続人は今後いかなる者の新規出版も認めないとして拒否した。
内容は外なる神ヨグ=ソトース、旧支配者大クトゥルフ、旧支配者ツァトグア、旧支配者ガタノトーア、旧支配者イグ、ナグとイェブ、旧支配者ゴル=ゴロス、外なる神シュブ=二グラスなどの神々に関することとその秘密宗派について、黒き碑と神の崇拝について、蟇蛙の神殿についてなど、非常に濃いものとなっている。
今日、かなり知名度の高い魔術書の一つ。
ミスカトニック大学はこの書を少なくとも三冊は所蔵しているという。
ラヴィニアが所持しているのは初版であるドイツ語無削除版である。
・『水棲動物(Hydrophinnae)』
ガントレイという名の人物が書いたとされる書物。
ラテン語版と英語版が存在するが、どちらも出版時期が不明。
魚類似の二足歩行動物を含む、数多い水棲動物について言及している。
ラヴィニアが所持しているのは英語版。
・『深海祭祀書(Unter Zee Kulten)』
その発祥が二説存在しているドイツ語の本。
ガウベルク伯爵が何世紀も前に書き、その後大部分が破棄されたという説。
もう一つはこの書の本来の名前が『深海碑文の秘密(Das Geheimnis Der Unterzeerunen)』であり、1908年に出版されたという説である。
この書を元に深海祭祀書という映画が作られたが、最終的にほとんどの国で上映禁止となった。
内容は水棲怪物に関することで、『深きもの』の食用と建築用に使われている軟体動物についても言及されている。
・『黄衣の王(The King in Yellow)』
19世紀後半に劇作家が書いた作品とも言われるが、クリストファー=マーロゥが書いた作品をジョン=クロフトとウィリアム=シェイクスピアが完成させたとも言われる。
読む者に恐るべき災厄をもたらすとされる戯曲本。
1895年の出版と同時に政府と教会がこれを糾弾、劇の上演は禁止される。
以後、隠れるように細々と出版されているようだ。
第一幕は穏やかな内容だが、第二幕は恐ろしい内容で読む者を狂わせる。
この書を読んで狂った者は旧支配者ハスターの、未だ定かではない本拠・カルコサへと連れ去られるという。
黄衣の王とはハスターの化身であると言われており(ニャルラトテップの化身という説もある)、多くの芸術家や知識人の信仰を得ている。
表紙の奇妙な印は黄衣の王の象徴である『黄の印』である。
本にはカルコサのことだけではなく、牡牛座のヒアデス星団やハリ湖など、多くのハスター領の地名が謳われている。
ラヴィニアは第二幕以降も目を通したが狂うことも無く連れ去れることも無かった。
その理由については後日明らかになるかもしれない。
・『エイボンの書(The Book of Eibon)』
ハイパーボリア(ムーやアトランティスが存在していた時代の北方で栄えていた大陸)で有名であった魔道士エイボンが書き記した書物。
弟子など様々な人の手に渡り、その時々に注釈や付け足しが加えられていった。
氷河期が訪れ、ハイパーボリアが滅んでも複数の書が残った。
アトランティス経由で商人が運んだ経路と、アヴァロン族という謎の種族が残した経路がある。
前者の書は後にラテン語に翻訳され、ミスカトニック大学及びハーバード大学にも保管されている。
後者はアヴェロワ-ニュという土地において1240年にガスパール=ド=ノールなる魔道士がフランス語に翻訳した。
この書はまだ何冊か現存していると言われ、ラヴィニアが入手したのはこのうちの一冊である。
内容は若き日のエイボンによる魔術実験、シャッガイとナスへの旅についてが大部分であり、その他には旧支配者ツァトグアに関する記述、邪神ルリム=シャイコースに関する記述、ある星から生み出された奇形を破壊する粉末の製法、生きた肉体を石化させる化学物質のことなどが記載されている。
しかし異形の生物ドールを召喚し使役させる方法などは失われており、また、南極に眠る『古きもの』に関する記述は一部の書にしか残っていない。
非常に知名度の高い稀観書であり、その内容は『ナコト写本』や『アル・アジフ』に匹敵する。
・『ルルイエ異本(R'lyeh Text)』
クトゥルフの落とし子によって造られた大きな銘板を書き写した書。
銘板は既に失われているが、巻物の形で中国奥地において残されている。
今日よく知られるのは人皮で装丁された中国語の本である。
ミスカトニック大学の図書館にも保管されており、ラヴィニアが所持するのもこれである。
他にもラテン語版が存在するという。
また、イタリア語版があり、それをナポレオンが所持していたという話もあるが定かではない。
内容は外なる神ヨグ=ソトースに関する記述、旧支配者イタクァに関する記述もあるが、メインは旧支配者大クトゥルフとその眷属への正しい崇拝の仕方や8ヶ所ある彼らの活動拠点、人間が水中で息を吸うことができるようになる呪文『ダゴンの息』などについて言及されている。
多くのクトゥルフ・カルトはこれを最も神聖な書として扱っている。
・『ドール賛歌(Dhol Chants)』
ドール賛歌は2種存在している。
一つ目は『隠されしレン』と呼ばれる、未だその位置がはっきりしない土地であるレン高原にて書かれた書物。
1650年に中国語で書かれたものがアジアの修道院にて発見された。
この本は『ドール』と呼ばれる異形の存在と関係しているが、ドールがどのような方法で文書に影響を与えたのかは謎のままである。
英語版も存在するらしい。ラヴィニアが所持しているものはビルマ(ミャンマー)語版。
ミスカトニック大学附属図書館にも一冊が存在する。
その内容は555の賛歌が収録されており、それぞれが呪文としての役割を果たす。
精霊を使役するもの、『青く輝くもの』と呼ばれる何かを呼び出すもの、復讐を果たすものなど。
復讐の呪文は術者の死後効果を発揮する。
役に立たない呪文、効果が無い呪文も含まれているらしい。
二つ目は第一次世界大戦時にハインリッヒ=ツィンマーマンが書いた同名の書である。
カリブ海と西アフリカの音楽性の類似について書いており、民族音楽、伝統音楽をまとめている。
しかしながらその歌の中には金のアミュレットを着用して歌うことで外なる神ニャルラトテップの化身・アトゥを召喚することができるものや、下級精霊を呼び出すことができるものも存在する。
・『ナアカルの鍵(Naacal Code)』
失われた大陸ムーで使用されていた神官文字。
現在ではヒマラヤの一握りの高僧しか知らない。
俗語と神聖語がある。
本書に関する具体的な資料はない。
ムー大陸でシュブ=二グラスを信仰していた教団が遺した石版『ナアカルの碑文』と何らかの関係があるのかもしれない。
・『水神クタアト(クタアト・アクアディンゲン、The Cthaat Aquadingen)』
中世初期に書かれた作者不詳の書。
クタアトの意味する所は不明。アクアディンゲンは『水中のもの』を意味するラテン語とドイツ語の混合。
この書の写本は、『ダゴネンシス写本』『スピタルスキ写本』などと非常に類似しており、このことから400年ごろの北ヨーロッパの禁制の伝承を集めた同様な書の一つに過ぎないと主張するものもいる。
オリジナルはゴシック体とルルイエ語の混合であるとも言われるが、5部しか存在しないといわれるものはラテン語で書かれているようだ。
最近の写本は英語版である。
この書の特徴はルルイエ異本と同じく人皮で装丁されていることであり、天候や湿度などによって本がうっすらと汗をかくことである。
所有者は英国の探偵タイタス=クロウ(彼の館を襲った奇妙な嵐により、紛失したと思われる)、大英博物館閲覧制限室、『ドリームランド』にあると言われる大図書館である。
また、英国のオークディーン療養所には写本と部分的な翻訳がある。
内容は旧支配者イブ=ツトゥルや外なる神ニャルラトテップの化身『小さき這う者』に関する記述がある他、旧支配者ツァトグァの儀式、旧支配者バグ=シャースを退散させる方法、ナアク=ティトの障壁、第六サスラッタに関する記述がある。
しかしその書の大半は水棲怪物や精霊に関係することであり、旧支配者大クトゥルフの奉仕種族である『父なるダゴン』や『母なるハイドラ』、『深きものども』のことにも言及されている。
この一級の魔道書をラヴィニアも所持しているが、人皮で装丁されたラテン語であるものの重要箇所が所々抜け落ちた、もしくは意図的に削除されているようであり、これがオリジナルなのか海賊版や写本の類なのかラヴィニア自身はっきり分からないでいる。
・『妖蛆の秘密(De Vermis Mysteriis)』
1542年ごろに魔術師ルドウィク=プリンによって書かれた本。
ベルギー国内で魔女狩りが盛んであったころ、プリンも異端審問によって裁判にかけられ、死刑を宣告される。
この書は彼が獄中において書き上げたものであるが、完成後何者かによって獄中から持ち去られたとか、プリン自身が何らかの方法で持ち出したとか言われている。
いずれにしろ彼の死後1年が過ぎた頃にケルンにてラテン語版が出版された。
教会はこの書を非常に危険視し、1569年、教皇ピオ5世が禁書に指定、発禁処分となる。
その後不完全なドイツ語版がデュッセルドルフで出版されるが評判は芳しくなかった。
また、1809年にプラハで(何語版か不明)出版されるが、現存しているものは確認されていない。
1573年には魔術師エドワード=ケリーがロンドンで英訳版を出版するなど、英訳はいくつか行なわれている。
19世紀には『僧X』なる人物が妖蛆の秘密の中で最も有名で、最も恐るべき章『サラセン人の儀式』に関する記述の英訳を、大部分を削除してはあるが小冊子の形で発表している。
この書はカリフォルニアのハンティンドン図書館、プロヴィデンスの『星の知恵派教会』、ミスカトニック大学附属図書館に存在する。大英博物館にはラテン語版の半分と、完全なドイツ語版がある。また、僧Xの小冊子も収蔵されている。
妖蛆の秘密は16の章に分かれていて、それぞれ易断、使い魔、魔術、精霊、吸血鬼などに分かれている。
最もよく知られているのがプリンが十字軍時代の後、サラセン人から聞いた、彼らの儀式を扱った章である。
また、空から舞い降りる不可視の吸血生物であり「眼に見えざる朋輩」と呼ばれる異形の怪物『星の精』を召喚し、使役する呪文がある。
そのほか、旧支配者バイアティスとアイレムの蛆魔術師の話、遼丹として知られる薬の製法、人間と深きものの混血による変身の促進を意図する術式、エジプト人のワニ神セベクに関する記述などがある。
ラヴィニアは困難ではあったがラテン語版を入手しており、この書は他の書に比べ閲覧する頻度が高いため、本をあまり傷ませないよう利用の度に別の紙に写し取っている。
・『魔術の真理(True Magick)』
テオフィラス=ヴェンという魔術師が17世紀に書いたとされる本。
1872年にオークリー・プレスによって出版されており、ミスカトニック大学附属図書館に収蔵されている。
写本も多く出回っているが、ラヴィニアはオークリー・プレスが出版したものを手に入れている。
内容は怪物や吸血鬼などについての普通の話のほか、大いなる力に関する7つの呪文が記載されている。
そのうち3つは様々な防護的な呪物の創造のためのものであり、ほかの3つは魔術師の敵に対して使用すべきもののようである。
最後の1つは恐るべき怪物を召喚するものであり、危険極まりないものである。
Great Old Oneを祀る祭壇に生贄を必要とするが、莫大な富を呪文の使い手に与える。
この書の中でヴェンは魔術を黒魔術、白魔術、灰色の魔術という風変わりな分け方をしている。
ラヴィニアは6つの呪文に関して既に試みを終えているが、最後の一つは特に富に困っていないため、使用どころか閲覧もほとんどしていない。
・『グラーキ黙示録(Revelations of Glaaki)』
旧支配者グラーキを信仰するカルトの慣習を詳しく述べた11巻からなる本。
ブリチェスターの近くにあるセヴァン渓谷に潜むグラーキを崇拝する様々な者の手によって書かれた。
カルトから逃げ出したメンバーが原稿を出版社に渡し、その出版社は1865年にグラーキ黙示録として9巻組みで出版した。
この本は原稿を持ち出したメンバーによって所々削除されていたという。
9巻組みのこの本はカルトメンバーによって買い占められ、一般の者が手に入れることは極めて困難であったという。
1920年ごろ、ブリチェスターの書店が黙示録12巻を発見する。
この巻は黙示録の中で旧支配者イゴーロナクについて言及されている唯一の巻である。
1870年代にグラーキカルトは解散したらしく、手書きのオリジナルがカルトの本拠地にまだ残されているかは不明である。
ブリチェスター大学は一時期、アーノルド=ハード教授の屋敷にあった9巻版を保管していたが、紛失してしまい今はもうない。
12巻の一冊がニューヨーク公立図書館にあるとの噂もある。
本の内容はグラーキの儀式が大半で、他に外なる神ダオロス、外なる神グロース、旧支配者アイホート、亜神ハイドラ(母なるハイドラ)、スルグオの住民についてなどが書かれているが、関わった人間が多いためか混乱やばらつきが多くみられる。
ラヴィニアは11巻版と12巻を所持しており、非常に重宝している。イゴーロナクに関する記述が多い12巻をはじめ、ダオロスやグロースの記述はよく目を通している。
・『全能なるオトゥーム(オトゥーム・オムニキア、Othuum Omnicia)』
怪物オトゥーム(その正体には二説あるが、未だ本質は不明)への正しい崇拝の仕方を記載した書。
強力な悪魔祓いについても記載されている。
ラテン語で書かれ、2部しか現存が確認されていない。
1部は大英博物館にあり、もう1部はハンガリーのどこかにある個人の収集の中にあるという。
ラヴィニアは東欧の出身であるが、彼女の所持しているものがその個人の収集であるものなのか、それとも第3部目なのかは想像にお任せしたい。
・『イオドの書(Book of Iod)』
その起源は不明。一説には『クト=ナー』という名の作であるともいう。
古代語で書かれており、そのオリジナルは1部だけ残っている。
後にジョハン=ニーガスがラテン語で書かれた翻訳された削除版を製作している。
その1部がカリフォルニア州サンマリノのハンティンドン図書館に保管されている。
ラヴィニアが所持しているのもラテン語版であるがページがいくつか抜け落ちた不完全版である。
内容は輝ける狩人イオドや、ヴォルヴァドス、ズー=シャエ=クワンといった邪神についての記述がある。
・『断罪の書(Liber Damnatus Damnationum)』
ヤヌス=アクァティカスによって書かれた本。
1647年にロンドンで出版された。
ミスカトニック大学にもラテン語版写本があったが盗まれたらしい。
またラヴクラフトの作品『The Case of Charles Dexter Ward(邦題:チャールズ=デクスター=ウォードの事件)』に登場する死霊術師ジョゼフ=カーウィンの書斎にも一冊が存在した。
この本の内容の多くがヤヌス=コーネリウス=ワッサーマンのオカルト・ファウンデーションで盗作されているという。
ラヴィニアはラテン語版写本を手に入れている。
内容は人類のほとんどが滅び去る『大いなる死』、Great Old Oneを助けその序列に連なることを許された存在などの記述があるほか、魔術師が子孫の一人の行動を通じて不死になる方法、外なる神ヨグ=ソトースと接触するための呪文、次元間のヴェールが春分近くになると薄くなる場所といったことについて言及されている。
・『魔女への鉄槌(Malleus Maleficarum)』
1486年にドイツにおいて、ドミニコ会の修道士でありケルン大学学長ヤコブ=シュプレンゲルと修道院長ハイリンヒ=クラーメルの共著として出版された実在の書。
当初魔女などいないと魔女裁判を抑えていたが徐々に世論に流され始めていた教会に最後の止めを刺した書。
魔女論の古典であり、魔女裁判の手引書である。全ての魔女論はここから発せられたといっても過言ではなく、多くの魔女論文はこの影響を受けた亜流とも言える。著者の一人、クラーメルは後に異端審問官になっている。また、シュプレンゲルは異端審問官長である。
13版を重ねたこの書は100年後に復刻版が出された時は16版にもなり、16種のドイツ語、11種のフランス語、7種の英語、イタリアでは2種が出版されるなど、世界各地で読まれることとなった。
イタリアでは再版され、イギリスでは数十版を数えるほど増版された。
驚くべき事に、当時カトリックと対立関係にあったプロテスタントまでが受け入れたということだ。
著者2人は魔女の冤罪事件やケルン大学の認定書を偽造するなどしながらローマ教皇イノケンティウス8世に働きかけ、ついに1484年、魔女裁判を肯定する教書を発布させる。
この書はその後、教皇の命によって書かれたものであるらしい。
実用書として、教科書として非常に優れていると言わざるを得ないこの書はすぐに受け入れられ、ヨーロッパに大災厄を撒き散らす事になるのである。
本の内容は魔女の定義、魔女の呪術、魔女裁判の手続きと方法の3章から成っている。
恐るべきは第3章であり、尋問や拷問の仕方まで事細かに載っているのである。
1946年、モンターギュ=サマーズが英訳復刻版を出す。
彼は序文でこの書が『世界で最も重要であり、知的で代表的とするに足る書物』であるとし、さらに『現代の裁判でも実用に耐えうる内容である』と述べている……。
ラヴィニアは正義の名の下であれば人間はどこまでも冷酷・残忍になり、周囲は付和雷同によってそれについていくという心理的性質を研究するためにこの書を重用している。
人間の本質を知る事は、彼女の目的到達への重要な一要素なのである。
・『死霊秘宝(Necronomicon)』
クトゥルフ神話で最も重要視される書。その全貌はまだ明らかになっていない。
アラブの狂える詩人アブドゥル=アルハザードが730年にダマスカスで書いたもの。
当時のアラブの書といえば巻物だったようだが、これは巻物だったのだろうか?
原題は『キタブ・アル・アジフ(もしくはアル・アジフ)』で、「魔獣の咆哮」「夜の悪鬼の咆哮」などと訳されるがその怪物の咆哮の正体は夜鳴きする虫のことである。
アルハザードは738年、衆人環視の中、不可視の怪物によって貪り食い殺されたと言われるが、別な説ではその書に書いてはならないことを書き記したため、連れ去られて拷問の末に殺されたという。
一般に知られる『ネクロノミコン』の名は950年にコンスタンティノープルのテオドール=フィレタスによってギリシア語訳された時に付けられたものである。
この書は読む者の精神に悪影響を与えるとして、一世紀後に総主教ミカエル=ケラリウスによって焚書に処せられた。
1228年にはオラウス=ウォルミウスによってラテン語訳版が出版されるが、1232年グレゴリウス9世によって発禁処分となっている。
しかし15世紀にはドイツでゴシック体版、16世紀にはギリシア語版がイタリアで、17世紀にはスペイン語版が密かに出版されている。
現存する多くは17世紀ラテン語版であり、ミスカトニック大学附属図書館をはじめ、ハーバード大学ワイドナー図書館、ブエノス・アイレス大学図書館などに存在する。
大英博物館には15世紀のゴシック体ラテン語版が存在する。
しかしいずれにしろ欠如しているものが多いものばかりであり、各機関が協力して元の一冊に戻そうとしている。
原書は失われているというが、その一部が蒐集家や魔術師などの書棚などで見られたという報告が後を絶っていない。
内容は旧支配者や外なる神、その眷属や奉仕種族についてやその宗派、秘儀について言及されているという。
また、人類の本質(塩)と死体を焼いた灰を用いた招魂術、地名や人名、品々に関わる伝説、他人の肉体を奪取して永遠を生きる方法、イヴン=ガズィの粉薬についての記述、時間と次元に関する秘密などが書かれている。
ラヴィニアも他の魔術師同様、例外ではなくこの書が一部だけでも咽喉から手が出るほど欲しいがその機会は全く得られておらず、ミスカトニック大学特別閲覧室において監視のもと、閲覧とメモを行なったことしかない。
・『セラエノ断章(The Celaeno Fragments)』
1915年にミスカトニック大学のラバン=シュリュズベリィ博士によって同大学の附属図書館に預けられた書。
これを預けた後に博士は失踪する。
シュリュズベリィ博士は旧支配者ハスター領であるプレアデス星団セラエノの第四惑星に存在する大図書館においてオリジナルの割れた石版を見つけ、覚書を書く。
この覚書が断章の翻訳であるといい、その起源は三畳紀中期であるという。
この断章は短いもので、50ページほどであるという。
ボストンの核物理学者アサフ=ギルマン教授とリマ大学のヴィヴァロ=アンドロス教授がこの断章を閲覧、要約本を作成した。
20年後の1935年、ミスカトニック大学に舞い戻った博士はこの断章を手元に戻している。その後何度も彼と大学の間を行き来し、今は関係の無い人間が閲覧できないように幾重にも鍵がかけられているという。
ほとんどの点で『エルトダウン=シャーズ』や『ナコト写本』と内容がよく似ている。
その内容は外なる神や旧支配者、その眷属や奉仕種族から身を守る術といわれる第四の結印『旧き印』についてや、フォウマルハウトに棲む旧支配者クトゥグアの招来、飲んだ者を時空の束縛から解き放ち、感覚を鋭敏にするだけでなく時間や時空を超える旅を可能とさせる黄金の蜂蜜酒の製法、ハスターの奉仕種族ビヤーキーの招来と使役、黄衣の王とカルコサに関する記述などがある。
ラヴィニアはミスカトニック大学において閲覧を希望したが拒否されたため、ボストン大学の要約本を閲覧している。彼女自身セラエノに赴いたことがあるがハスターの僕ではなかったため、その知識を書にして持ち出すことはできなかった。
島で出会った断章のオリジナルを持ち、博士の孫を名乗る少女の存在に衝撃を受けたが、今はその少女の成長や少女との交流を楽しんでいる。
博士と相反する道を歩いているラヴィニアと博士の孫娘である少女の関係がどんな結論を迎えるのか、PLとしてちょっと楽しみ。
というか、いつもお世話になってます(笑
・『ネクロノミコンにおけるクトゥルフ(Cthulhu in the Necronomicon)』
ラバン=シュリュズベリィ博士による草稿。
彼の論文『ルルイエ異本を基にした後期原始人の神話の型の研究』の続編であるらしい。
未完である。
1938年に最初の部分が出版社に届く。この年に彼の家に原因不明の火事が起こり、博士は死んだと思われていた。
残りの原稿は存在していないが、最初の部分は出版されたとも、出版されずミスカトニック大学に保管されているとも言われる。
内容は『ネクロノミコン』と『ルルイエ異本』で概要が描かれるクトゥルフ神話と、世界中の様々な文化の神話の関連について述べたり、Great Old One同士(特に旧支配者大クトゥルフと旧支配者ハスター)を相争わせることが有効であるかどうかを推測している。
ラヴィニアはこれをミスカトニック大学特別閲覧室にて、監視のもと、閲覧とメモを行なっている。
・『ザンツー陶片(Zanthu Tablets)』
ザンツー石版とも。
失われた大陸ムーのユトグタ信仰最後の大神官であったザンツーによってナアカル神聖語で書かれた10個(12個とも)の黒い石版。
ザンツーは史上最も強力な魔術師の一人に数えられるが、ムー沈没の原因を作った。
1913年、あまり評判の良くない人類学者ハロルド=ハドリー=コープランドが『ポナペ島教典』に書かれた記述に従ってアジア探検を行い、ザンツーの墓を発見し石版を回収した。
しかしながら探検隊はこの辺境において壊滅しており、コープランドも狂気に陥っていた。
後に正気を取り戻したコープランドは石版の翻訳に取り組み、1916年、その結果を個人出版で小冊子にしてまとめ、『ザンツー陶片:憶測的翻訳』としてサンフランシスコで出版した。
しかしながら学会、世論双方からこの作品は糾弾されることとなり、出版から2年後、コープランドは保護施設に送られることになった。
石版はカリフォルニアのサンボーン太平洋海域古代遺物研究所に保管されていたが、1933年に盗難によって紛失する。
小冊子の内容は『セラエノ断章』や『ナコト写本』と類似している部分がある。
石版は、ザンツーがどのようにしてムーを破壊してしまったのかを、ザンツーが書き残したものであった。
ラヴィニアが閲覧したのは小冊子である。
・『ダゴンへの祈祷書(Invocations to Dagon)』
アサフ=ウェイトによって書かれた草稿。
彼は『深きもの』との繋がり深いマサチューセッツ州インスマスの住人だったが、1928年に連邦政府の襲撃によって死亡している。
原題は『祈り』だけであるかもしれない。
この書は彼の一族に伝えられたとされるが、現在誰が所持しているのか部外者には分からない。
ミスカトニック大学はこの作品の数ページを保管しているという。
内容は主にクトゥルフの奉仕種族であり神父である亜神『父なるダゴン』に捧げられた儀式と祈祷文である。
ラヴィニアは後に語ることになるが、彼女にとって最高の書となる禁書『ニライカナイ』を手に入れる直前にインスマスに赴き、『ダゴン秘密教団』と接触している。
その際、この祈祷書の閲覧を彼らから許された。
・『石碑の民(The People of the Monolith)』
『モノリスの人々』とも。
有名なボードレール派の詩人で、詩人エドワード=ダービィの友人であったジャスティン=ジェフリーの詩集。
題名となった詩は1922年のハンガリーのズトゥルタンという土地への旅行の際、ジェフリーが陥った狂気に関係しているらしい。彼はこの間、シュトレゴイカバールに滞在し、黒の碑に大変な感銘を受けた。
数年後ニューヨークに現れた彼は後に『石碑の民』と呼ばれることになる詩の原稿を持っていた。
ニューヨークで知り合い友人となったジョン=タイラーの支援によって1926年、エレバス・プレスによって出版される。
しかしこの直後、彼の精神は著しく衰退し、ジェフリーは精神病院で21歳の若さで狂死した。
1982年、著名な映画監督コーマン=アッベがこの詩集を題材に映画を製作するが、初公開が行なわれたニューヨークの劇場は崩壊し、フィルムが公開されることは決してなかった。
この詩集の一冊は何かのクリーチャーの皮で装丁されていたというが、他の本は普通の装丁であった。
詩は年代順に並べられているが、『ヴェールを剥ぎ取る者』については例外であるという。
詩集には『石碑の民』、『黒い欲望』、『星の獣』、『ニトクリスの鏡』などがある。
ラヴィニアはこれを所持しておらず、図書館などで閲覧、メモを取っただけである。
・『ナコト写本(The Pnakotic Manuscripts)』
書かれた時代、起源は謎のままである本。
『イスの偉大なる種族』が最初の5章を書き、それらをナコタスという記録保管都市に保存したといわれ、またその題名は同都市に由来する。
また、『エルトダウン・シャーズ』との関連から、これを『古のもの』の手によるものであるとする説も存在する。
古代ロマール人がハイパーボリアへ伝え、そこで大陸の言語に書き直され、有史時代まで秘密教団が保管していた。
時が経ち、本来のものと異なる内容が書き加えられたという。
この書は元は巻物の形であったが、この版は全て失われているという。ミスカトニック大学にはこの版に由来する羊皮紙が数片保管されている。
また、後にギリシャ語と英語に翻訳されており、ギリシャ語版は『ナコティカ』と呼ばれる。
15世紀に翻訳者不明の英訳版が出版されたというが、写本の普及版であるとも言われる。
これはウルタールにあるものが最後であるとされるが、ミスカトニック大学、東京大学、『星の知恵派』のプロヴィデンス教会、ニューヨーク公立図書館にも保管されているという噂もある。
写真による複製は削除版ではあるが大英博物館に存在する。
その内容は『イスの大いなる種族』に関する記述、旧支配者チャウグナル=フォーンや旧支配者イブ=ツトゥルの性質、ハセグ=クラ山頂上へのサンスの旅、ゾブナの没落、旧支配者ラーン=テゴスに関する記述などがある。
この書にはある種の守護者が存在し、閲覧を阻害するといい、これを読むには代価を払わなければならないとも言われているが定かではない。
ラヴィニアは大英博物館の写真を苦労して許可を取り閲覧し、ラーン=テゴスに関する記述をメモしている。
・『シークレット・ドクトリン(Secret Doctrine)』
1888年、霊媒師にして神智学創唱者であるマダム・ブラヴァッキー(エレナ=ペトロヴナ=ブラヴァッキー)によって書かれた書。
実在の本であり、書店で普通に購入できる。
『ドジアンの書』の紹介などがある。
余談だがクトゥルフ神話作品において『魔術書研究のための参考書、辞書』的扱いで頻繁に登場するジェームズ=ジョージ=フレイザーの神智学本『金枝篇』も普通に買える。
某ゲームでは魔術書扱いで優遇されてた。なぜ?
とにかくラヴィニアはこれを購入せず、本屋での立ち読みで済ませている(ぇー
・『サンの七秘聖典(Seven Cryptical Books of Hsan)』
『フサンの謎の七書』とも。
恐らくは中国起源と思われる巻物。
2世紀に大フサンで書かれたとか、レン高原から来たとかいろいろ言われている。
秦の始皇帝が紀元前213年に行なった焚書により、巻物の大部分は破壊されることとなり、後に粗雑な版として復刻されるも、四王朝を経て禁書に指定され、希少極まりないものとなった。
その後中国から持ち出され、1792年の粗悪な英語版以降、何度も翻訳された。
1940年にオカルティストとして名高いエティエンヌ=ローラン=ド=マリニーによって良質の英語版が纏められ、ボストンの出版社が出版している。
1943年ラマ僧のドルジ=ラムはマルセイユでフランス語版を出版した。
この本はウルタールにあるエルダー・ワンの神殿、ミスカトニック大学、フランスのアルスナル図書館、サンクトペテルブルク国立大学図書館やアメリカ議会図書館、スコットランドやフランスの個人蒐集家が保管しているという。
アメリカ議会図書館においては、完全な版を持っているが堅く守られている。
ダライ=ラマの図書館にもこの本があるが、中国軍侵攻の際、僧たちはこういった書のほとんどを秘匿してしまったため、チベットでこれらの写本を見つけることは不可能に近いという。
内容は死んだ魔術師の適切な扱い、外なる神ニャルラトテップの化身たち、ドリームランドやレン高原についてなどのほか、『ルルイエ異本』の引用、『ドール賛歌』に類似した呪文などが記載されている。
巻の一つは失われていると言われ、死者から知識を得る方法について書かれているという。
ラヴィニアはミスカトニック大学で閲覧し、いくつかの式文などをメモしている。
・『屍食教典儀(Cults des Goules)』
主にパリにおける食屍鬼(グール)のカルトを扱った書で、著者はダレット伯爵というオカルトに嵌り込んだフランス貴族。
この書の版については元々出版された事実はないとかあるとかいろいろあってよくわからない。
しかし数人の魔術師がイタリア語やフランス語の写本を生み出したとも言い、合計で14部存在するという。
書は刊行後に教会によって発禁となった。
ミスカトニック大学や『星の知恵派』のプロヴィデンス教会、正体不明の嵐により紛失したであろうが探偵タイタス=クロウの個人蔵書の中にも存在していた。
本の内容は放蕩三昧の宮廷人ですら恐怖させたという。
食屍鬼カルトにおける伯爵の活動、豊作を願う大地の神々に捧げるという異教的な儀式の記述、外なる神シュブ=二グラスや旧支配者ニョグタに関する記述などがある。
ダレット伯爵は、後に姓を『ダーレス』に改めたとされる。
ラヴィニアはミスカトニック大学でこの書を閲覧、メモをしている。
・『サセックス草稿(Sussex Manuscripts)』
『悪の祭祀(Cults Maleficarum)』とも。
ラテン語版『ネクロノミコン』の部分的英訳。
サセックスのフレデリック男爵によって1598年に8つ折版で刊行された。
『エルトダウン・シャーズ』を翻訳したホール師がこれをさらに翻訳しており、それはミスカトニック大学に保管されている。
ラヴィニアはミスカトニック大学でこの書を閲覧、メモをしている。
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