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偽島の呼び声?
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ラヴィニアの手記。

『序文』


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
私は10になるまでは、穢れを知らぬ娘だった。
貴族の末裔という名の大地主の家の、末娘だったのだ。


あの日、一冊の本を手に取るまでは。


人目につかぬよう、地下書庫に巧妙に隠されていた書。
幼い私が隠れんぼの際、偶然見つけてしまったもの。



『エルトダウン・シャーズ』



私はそれを一目見た瞬間より、人智を超えた未知なる世界に強く惹きつけられていった。


いや、堕ちたのだ。
魔道の世界に。


最古の書とさえ言われる、有史以前に書かれた書『ナコト写本』の一部では、と囁かれる『エルトダウン・シャーズ』。

私は独学で、苦心してそれを読み解いた。
毎日毎日地下書庫で過ごして。

それに飽き足らず他の書物を探し歩き、その内容の実践に及んだ。



親兄弟は私を持て余し、使用人は私を恐れ、人々は私を忌まわしい魔女と呼んだ。


やがて私は追放されることとなった。
しかし全く後悔していない。
いずれは自分から出奔していたことだろう。




しかしなぜ我が家にそのような本が隠されていたのか。
それを知る事ができたのは、家を飛び出して6年が過ぎたころ。
マサチューセッツ州エセックス郡の一都市、アーカムが誇る大学、『ミスカトニック大学』を訪れた時である。

アーカムに住み着いてた『魔女ナハブ』の名を持つ者が、私の一族に連なる者であり、曽祖父と何かしらの関係があったことがわかったからである。

その者の名はキザイア=メイスン。
セイレムの魔女裁判を逃げ延びた、正真正銘の魔女だった。
既に死亡したらしいが、はっきりしたこともわかっていないらしい。


自分の血脈が魔の世界と縁があると知り、私は喜んだ。
私がこの世界に堕ちたのは、血のなせる故であると。



私はイギリスのグロウスターシャー州にある地方都市、ブリチェスターに居を構えた。
魔女屋敷などと近辺の者どもに噂されたが、私はまったく気にせず、魔道書の収集と読解、実践に耽った。


私の研究のために集められた書は、他にもあるが頻繁に利用するものとして次のようなものである。


・『エルトダウン・シャーズ』
・『ネクロノミコン新釈』
・『アトランティスと失われたレムリア』
・『無名祭祀書』(初版)
・『水棲動物』
・『深海祭祀書』
・『黄衣の王』
・『エイボンの書』(仏語版)
・『ルルイエ異本』(中国語版)
・『ドール賛歌』(ビルマ語版)
・『ナアカルの鍵』
・『水神クタアト』(写本?)
・『妖蛆の秘密』
・『魔術の真理』
・『グラーキ黙示録』
・『全能なるオトゥーム』
・『イオドの書』(英語版)
・『断罪の書』
・『魔女への鉄槌』


閲覧したものを知りたい部分だけ写したものは、

・『死霊秘宝』(ラテン語版)
・『セラエノ断章』
・『ネクロノミコンにおけるクトゥルフ』
・『ザンツー陶片』
・『ダゴンへの祈祷書』
・『石碑の民』
・『ナコト写本』
・『シークレット・ドクトリン』
・『サンの七秘聖典』
・『屍食教典儀』
・『サセックス草稿』

これらは閲覧してメモなどをしたものだ。
手に入れることはできず、ミスカトニック大学やブリチェスター大学などの図書館にて依頼し、見ることができた。




そんな私がようやくの思いで19の時に手に入れた書がサー・アメリー=ウェンディー=スミスが記した本である。



『グ・ハーン断章』



まずは私の望みを叶えるための、第一歩を踏み出したこの書について、少しばかり語りたい。
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